大船ゆ〜かり整骨院症例ブログ「変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)」
2015.12.04
階段の下りで膝が痛い 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
長い年月をかけて少しづつ進行してゆく膝の疾患「変形性膝関節症」
中高年を悩ませる膝の痛み「変形性膝関節症」
中高年の皆さんを悩ませている膝の痛みの多くは「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」という疾患です。 ちなみに「○○症」という病名は、原因不明な場合もしくは、いろいろな原因が含まれて発症した場合につけられます。
立っているとき、膝関節には全体重がのしかかっています。歩くときには、さらに大きな負担が加わります。これらの負担から骨を守るため、半月板(はんげつばん)・関節軟骨などの組織がクッションの役割を果たし、筋肉・靭帯(じんたい)がそれらをサポートしています。これら膝のボディガード勢のうち、関節軟骨がすり減ってしまったものが、いわゆる変形性膝関節症ということになります。
それでは軟骨がすり減ってしまう原因はなんでしょう? これは「加齢」「肥満」「O脚」など、さまざまです。「加齢」とは、年齢によって軟骨が劣化するということではなく、長い年月の積み重ねで、同じような刺激が何度も繰り返され続けた結果、軟骨がすり減ってきてしまう、とうことです。「肥満」はもう説明の必要ありませんね。体重が重くなるほど、膝にかかる負担が増えるのは当然です。最後の「O脚」ですが、これは常に膝の内側に荷重する形になるので、内側部分の軟骨が激しく損傷してしまうのです。
少しづつ進行していく膝の痛み
変形性膝関節症は、少しづつ進行してゆくのが特徴ですが、3段階に分けて考えることができます。まず初期の段階では、起き上がる際に膝がこわばったり、軽く痛んだりする程度で、日常生活にはまだ支障がでません。中期になると、痛みが強まり、さらに痛みが引くまでの時間が長くなります。また、歩くときにゴリゴリと音がして、違和感を覚えることもあります。さらに症状が進み、末期になると、わずかな動きでも激痛が走り、歩行が困難になります。ここまでくると日常生活の動作に支障をきたします。
末期の方は、動くと膝が痛いので、皆さん動かなくなります。すると、運動量が減り、肥満を誘発します。さらに膝の外見が腫れ上がり、O脚の度合いが激しくなります。ここまで悪循環が進行してしまうと、観血療法(かんけつりょうほう)を適用したほうがいいかもしれません。
現代医学では残念ながら、すり減ってしまった軟骨を元どおりに修復する技術はありません。しかし痛みをやわらげ、日常生活に支障が出ないところまで治療することは十分に可能です。歳だからと諦めず、症状が軽いうちになるべく早く治療されることをおすすめいたします。
1年ほど前から膝が痛くなった 67歳女性の場合
これは変形性膝関節症で悩む67歳女性の症例です。1年ほど前から右膝が痛くなり、整形外科でレントゲンを撮ってもらい、診断を受けたとのこと。
はじめの3ヶ月ほどはシップを貼って、痛いながらも動いていたそうです。しかし痛みは強くなる一方。そこで4ヶ月後からは月に1度、ヒアルロン酸の注射を打つようになりました。最初のうちは嘘のように痛みが消え、治ったかのような感覚になりましたが、2週3週とたつにつれてまた痛み出し、最後の方はもう注射をしても3日くらいしか鎮痛効果がもたなくなったそうです。
膝の状態を見せていただくと、なんと右膝が左膝の1.5倍ほども腫れあがっています。さらに立っていただくと、膝と膝のあいだに指が4本も入ってしまうほどのO脚でした。さらに、右膝をかばって歩くせいで、右のふくらはぎの筋肉がガチガチに硬くなっていました。
施術経過 〜驚きの回復で変形性膝関節症が治癒
まずは膝の炎症を引かせることが最優先ということで、右膝に矯正をおこないました。ついでに、パソコンを使っているため猫背になっており、頚椎(けいつい)もゆがんでいましたので、背中と頚部(けいぶ)も矯正をしました。いきなりのことで患者さまはかなり驚いたご様子でしたが、よくなっていただきたい一心で、思い切りやらせていただきました。最後に右膝に体重がかからないよう、免荷包帯固定をして初日は終わりです。
この調子で施術を施し、6日目には腫れも少しづつ引いてきましたので、硬くなった足の筋肉を緩めるため、ベッドでマッサージをするようにしていきました。これが功を奏して、歩き方がかなり改善され、この時点で痛みは6割ほどまで減ったそうです。
それから1週間ほどで腫れが無事引きましたので、それまで続けていた包帯固定を外しました。その後、後ろ側の筋肉と同様に、膝の前側の筋肉も緩めるようにしていき、初診から6週間ほどで完全に痛みがなくなり、普通に生活が送れるようになりましたので、治癒となりました。
「1年間かかえていた痛みが6週間でよくなるなんて、まるで魔法のようです。感動しました!」とよろこんでいただきました。その後、この患者さまは以前から興味があった山登りをはじめられたそうで、今年の秋にはなんと富士山に登る予定とのこと。驚きです。
膝に痛みが出る前に、姿勢とストレッチで予防を!
実際のところ、今回のケースにある魔法のように治ってくださる患者さまは稀なのです。膝の関節が炎症して変形し、痛みまで出てしまうと、やはり治療期間は長くなります。だいたい3〜4ヶ月の継続加療を要します。
関節炎には、しっかりとした予防が必要です。予防さえしっかりしておけば、痛みまで出てしまう可能性は限りなく低くなります。とくに気をつけていただきたいのは、日頃の姿勢です。
姿勢が悪いと、骨盤が傾き、足の長さが変わります。すると左右で足にかかる負担が均等ではなくなってしまいますので、膝の関節にも負担がかかり、炎症が起きて痛みを引き起こしやすくなります。
また、膝のまわりを鍛え、常に筋肉がやわらかい状態を保つのも有効です。とくに膝の内側の筋肉は、膝を支える要ですので、「開脚」や「股割り」など、普段とらないような姿勢を意識したストレッチを心がけましょう。
最後に内腿の筋肉を鍛えるおすすめのエクササイズをご紹介します。バランスボールや、バスタオルを2〜3枚重ねたものなどを、内腿に挟んで、それを両足で潰すようにして力をかけます。ぜひやってみてください。